
1997年の創業以来、3Dデータの軽量化技術を軸に製造業の変革を支えてきたラティス・テクノロジー株式会社。同社が誇るXVL技術は高い専門性を持つ技術であるがゆえに、その価値をいかに分かりやすく伝えるかという課題に長年取り組んでいます。そうした中で今回同社が取り組んだのが、自社開催の展示会「製造業DX×3Dセミナー2025」においてお客さまの事例をご紹介する事例講演の内容をパンフレット化し、情報発信を強化する試みです。
このパンフレット制作におけるグラフィックデザインを担ったのが、日本テレビアート(以下、日テレアート)です。以前はプロジェクトご担当者自身でパンフレット制作を行っており、今回のプロジェクトは情報発信の強化だけでなく、工数の削減も重要なポイントでした。
今回はラティス・テクノロジー株式会社から代表取締役の鳥谷さま、プロジェクトを主導された新堀さま、福原さまにお話を伺い、これまでの情報発信の取り組みと抱えていた課題、パンフレット制作の経緯、得られた成果について振り返ります。
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ぜひお気軽にご相談ください。
―― 今回の取り組みでは、ラティス・テクノロジー社が主催された展示会「製造業DX×3Dセミナー2025」における事例講演の内容をまとめたパンフレットの制作を任せていただきました。まずは貴社事業の概要についてお聞かせください。
鳥谷:1997年の創業以来、当社では「3Dで世界を変える」という理念を掲げ、独自の3D技術を通じてものづくりの現場をより良くし、ひいては社会全体をより良くするため、事業を展開しています。当社の事業の中核は、軽量3Dフォーマット「XVL」を軸としたソフトウェアとソリューションの提供です。XVL技術の研究開発を出発点に、自動車や農機建機、電機、重工業などの製造業のお客さまとともに歩んできまして、現在はグローバルに製造業を支える3Dソリューション企業として世界で評価いただいています。
―― XVL技術によって、どのような価値をお客さまに提供しているのでしょうか。
鳥谷:自動車では3万点、船舶では10万点と、プロダクトのサイズが大きくなればなるほど部品点数は増え、さらに部品点数が増えれば増えるほどCADの3Dデータは重くなり、扱いづらくなるため、設計領域でしか活用されてきませんでした。この3Dデータを高精度のまま軽量化することに成功したのが、当社のXVL技術です。このXVL技術を活用すれば、設計レビューや組立シミュレーション、作業指示書の作成、保守・サービスまで含め、設計以外の領域でも、さまざまな業務で軽量化された3Dデータを活用することが可能になります。
さらに3Dデータを誰もが使える「共通言語」にすることによって、現場におけるムダの削減や生産性の向上だけでなく、「データの流通」を促すことによって製造業全体をデジタルによって変革すること、つまり本質的なDXを実現できると考えています。

―― 広報・マーケティング全体の方針をお聞かせください。
鳥谷:XVLという軽量3Dフォーマットは当社が発明した新しい技術であるため、お客さまに採用いただく前にそもそも新しい市場を開拓する必要があります。そのため、「自社の商品を知ってほしい」という宣伝より、そもそも「なぜ軽量3Dフォーマットなのか」と啓蒙することに力を入れてきました。当社は創業以来、「私たちは市場創造型のベンチャー企業である」との意識で大きく2つのポイントを大事にしてきました。
まずひとつが、当社の存在意義である「3Dの軽量化技術で世界トップクラスを走っている」という技術力を常にアピールし続けることです。VRデバイスなどの技術発展にも追従し、最高の3D性能を実現するソリューションを生み出していることを発信し続けてきました。
もうひとつの重要なポイントは、XVL技術による新しいソリューションが一体誰の、何のために、どのように役に立つのか、そして製造業がどう変わり、ユーザーにとって、どんな「嬉しさ」があるのかを伝えることです。創業当時の商談の場では、XVLのテクノロジーだけのプレゼンテーションに終始してしまい、「これはすごいね!」「こんな時代が来るね!」と感想を受け取るだけで終わってしまうことが多々ありました。こうした苦い経験から、「XVL技術がいかに役に立つか」をより広めるためにセミナーや展示会を開催し、その内容を書籍やパンフレットなどで発信することに力を入れています。
―― 展示会における事例講演の内容をパンフレットにまとめる取り組みは、どのような背景から始められたのでしょうか。
福原:もともとは展示会に来場いただいた方向けに、事例講演で使用されたスライドをそのまま印刷し、お渡ししていました。後日、展示会に参加いただいた方が社内で資料を共有するケースはあったのですが、スライドだけでは事例講演の内容はしっかり伝わっていないだろうと考え、より多くの人に講演内容を届けたいという狙いから、事例講演の内容をパンフレットにまとめる取り組みが始まりました。
新堀:社内報告用としてのパンフレット活用に加え、当社のWebサイト上に公開することで、展示会に来場いただけなかった方でもダウンロードし、閲覧できる環境を整えたこともポイントです。これによって展示会後も継続的に情報発信が可能となり、さらなる認知拡大も狙っています。
―― 今回の取り組み以前は、どのようにパンフレットを作成されていたのでしょうか。
新堀:イベント運営サービスの一環として、パンフレット制作を外部の協力会社さんに任せていた時期もありました。しかし毎年新しい取り組みや先進的な内容を発信する展示会だからこそ、パンフレットのデザインも固定せずに、その年ごとにこだわっていくべきではないかと考え、デザインから自分たちで手がけるようになりました。

―― 以前のパンフレット制作では、どのような課題や悩みを抱えていたのでしょうか。
福原:パンフレットにおける情報の伝え方と、デザイン力の2点に課題を感じていました。当初は、講演いただいた企業名と講演タイトル、そして講演の内容が最低限揃っていれば十分だろうという認識で制作を進めていました。しかし社外に配布する以上、パンフレット自体が一人歩きし、新たな顧客との接点を生むコンテンツになる可能性があることを考慮すると、パンフレットに盛り込む内容をしっかり設計する必要があると考えたのです。しかしその一方、読み手が求める情報を伝えるため、どのような要素を盛り込めばよいのか明確な指針を立てられていませんでした。
もうひとつの課題が、デザイン力です。特にA4サイズという限られた紙面の中での情報配置や配色、大見出し・中見出し・小見出しのデザイン、フォントのサイズといった、デザインの基本的な設計部分に限界を感じていました。自分でもデザインを学ぼうとはしたものの、日々の定常的な業務が優先され、十分に時間を割けないという現実もあり、結果として「これでよいのか」という不安を抱えたまま制作を進める状況になっていました。
新堀:今回のパンフレット制作の背景として、より付加価値の高いパンフレットにしたいという思いもありました。イベントに登壇いただく企業の講演者の皆さまは、わざわざ遠方から時間をかけてセミナーに参加いただき、20〜40分に及ぶ発表資料とスピーチ原稿を用意いただいています。さらに事例講演レポートの確認・レビューや表現の修正にまでご協力いただいていることを踏まえると、パンフレットのデザインにも力を入れ、より付加価値の高いパンフレットにすべきではないかと考えたのです。
さらに「製造業DX×3Dセミナー」は単発の開催ではなく、毎年継続して開催されるため、今回のアウトプットのクオリティが翌年の協賛・後援企業の判断材料になる可能性もあったことも、パンフレット制作に力を入れるべきだという判断を後押ししました。
―― パンフレット制作を依頼するにあたり、どのように比較検討されたのでしょうか。
福原:パンフレット制作を外部に依頼するにあたって、まず自社で対応する場合との比較を行っていました。自社制作であれば直接的な制作費はかかりませんが、専門的な知識がない中で進めることになるため、途中で方針を見直したり、判断に迷ったりする場面が多く、結果として時間がかかってしまう点がボトルネックでした。結果として、事例講演の内容を正確に伝えるだけで精一杯になってしまい、デザイン面では必要最低限の工夫に留まっていたのが実情です。
その後、情報収集を進める中で、インターネット検索やSNS広告をきっかけに知ったのが、日テレアートさんでした。サービスサイトを確認すると、テレビのイメージが強い企業でありながらも企業向けデザインに特化したサービスも展開されている点が印象に残りました。

―― パンフレット制作をご依頼いただいた決め手をお聞かせください。
新堀:当社のXVL技術は専門性の高いこともあり、「知る人ぞ知る」存在にとどまっていることにずっと課題意識を持っていました。技術的な話はどうしても説明が難しく、ひと目で印象に残すのは容易ではありません。
その一方でテレビ番組を見ていると、デザインの力で番組のテーマやメッセージをとても分かりやすく伝えているという印象がありました。日テレアートさんのWebサイトを見ていても、同じようにテーマとメッセージを伝えるデザインに強みがあるように感じ、パンフレット制作をご相談させていただきました。
福原:打ち合わせを重ねる中で営業の方はもちろん、デザイナーの皆さんも当社についてしっかり調べてくださっていたことが、とてもありがたかったです。ご依頼の背景を意識しながら話していただいていると伝わってきました。そしてパンフレット制作の金額感も、想定していた範囲を超えないものでしたので、正式にご依頼させていただきました。
―― パンフレット制作はどのように進行しましたか。
福原:日テレアートさんとの打ち合わせでは、「これまでのパンフレットとは異なる、新しい印象にしたい」という点に加え、講演いただいた企業へのリスペクトを示すために講演企業のコーポレートカラーを部分的に取り入れる方針をお伝えしました。こちらからの要望を形にするだけでなく、「こうした表現はどうでしょうか?」といったプロの視点からのアイデアを提示いただいたことが印象的です。
パンフレット用のテキストについては自社で作成しました。事例講演に登壇いただいた4社にパンフレット化の許可をいただき、映像記録をベースに原稿化しています。その後、原稿を日テレアートさんへ展開し、デザインを3案提示いただきました。その中から1案に絞り込み、最終案を制作いただく流れで進めています。
―― 3案の中から、どのような要素を重視して1案を決定しましたか。
福原:当社が日本で先駆けて3D技術に取り組んできた企業であること、その文脈に適した誠実さや信頼感がデザインとして伝わるかどうかを重視しました。そのうえで、3Dらしい滑らかさや先進性を感じさせつつも尖りすぎず、ややクラシックで見やすいトーンとのバランスが取れている点を評価し、最終案を選定しています。
また、完成したパンフレットが初めて当社のことを知った方の手に渡った際に対して安心感や信頼感を持ってもらえるかどうか、という視点も重要な判断軸でした。単にイベント用の資料として終わるのではなく、イベント終了後もリーフレットとして活用することを前提に情報が整理されていること、そして読みやすさも意識したポイントです。
実際に提示いただいた3案は、中見出しと小項目の構成が整理されており、段落ごとに課題や流れが把握しやすい点が共通して高評価でした。色味や背景処理、半透明の使い方なども工夫されており、全体として一体感のあるデザインだったと感じています。その中で、モダンなブロック調の案やタイル調の案などと比較しつつ、最終的には「少し固めの印象を与えること」を重視して、今回の案を採用しました。

―― 納品後の活用シーンから逆算し、デザイン面でこだわったポイントがあればお聞かせください。
福原:展示会での活用シーンを想定すると、パンフレットは主に当社を初めて知る来場者に手渡すことになるため、手渡した瞬間にざっくりとしたパンフレットの全体像が伝わるような見やすさを重視しました。フッター部分についても、単に企業名を記載するのではなく、当社のコア技術である「XVL」がしっかりと認識されるよう配置を工夫しています。
また、「ラティス・テクノロジー」という社名は文字数が多く検索されにくい一方で、「XVL」であれば検索につながりやすいという考えから、Webの検索ボックスを模したビジュアル部分に「XVL」と記載しています。そのほか、コンテンツごとに配色をわずかに変えたり、タイトルカラーを切り替えたりすることで、情報の強弱が直感的に伝わるように工夫いただきました。
―― 最終納品後のパンフレットは、どのような活用を想定されていますか。
新堀:納品いただいたデータは、A4とA3を組み合わせた印刷用データに加え、A4のみのPDFデータも用意いただきました。印刷用とWeb用で同じ見せ方では情報が伝わりにくいため、色味やサイズをそれぞれ調整いただいています。
納品いただいたWeb用のパンフレットはすでに公開しており、オンライン上で情報を発信する環境を整えました。そのうえで、今後は展示会での配布や、営業活動における販促ツールとしての活用を想定して印刷等の準備を進めています。
―― 納品後のパンフレットによって、どのような成果が得られていますか。
福原:展示会での配布前ということもあって、今後成果につながることを期待したいです。Web上の掲載でも現時点ですでにいくつかの反応は出始めておりまして、すでに何件か資料請求を受けており、初速の手応えは感じていますね。
資料を請求いただいている企業には、これまで接点のなかった新規顧客も含まれています。イベントに参加できなかった方が、リーフレットを通じて展示会や事例講演の様子を知り、そこから取り組みに興味を持っていただいているケースもあるのかなと思っています。過去にも事例コンテンツをきっかけに問い合わせにつながったケースがいくつもあるので、今回も同じような成果を期待しています。

―― 弊社のパンフレット制作サービスに対する評価をお聞かせください。
福原:パンフレット制作の工数については、これまで自前で制作していた頃と比べると、明らかに負担が軽くなりました。今回の取り組みでは、最初のキックオフから最終版の納品までメールとオンライン会議を中心にリモートで制作を進めることができ、デザイナーさんとのやり取りも3回程度に収まっています。
もし今回のパンフレットもインハウスで制作していたとすると、ベースとなるデザイン案を考えるだけでも丸一日かかっていた可能性がありますし、原稿を流し込みながら文字量やレイアウトを調整する作業にも、1件あたり数時間はかかっていたと思います。さらにその作業を4社分繰り返していたと考えると、他の業務はストップしていたはずです。
新堀:全体のプロセスにおいては、コストやスケジュールをしっかり守りながら制作いただけたことも評価しています。制作工数の削減とパンフレットのクオリティには満足しているのはもちろん、プロジェクト進行がスムーズだったので、安心してお任せできるサービスだったと感じています。
―― 今後の展望についてお聞かせください。
鳥谷:当社のXVL技術はまだまだ新しいソリューションであるため、ROI(投資利益率)の計測が難しい領域です。IT全般にも共通しますが、導入の成果を数字だけで説明しきれない中で、事業の変化をいかに可視化し、ソリューションの導入効果に説得力を持たせるかが重要になります。
たとえば業務の効率化だけで終わらせず、空いた時間を何に使い、それがどう企業に貢献したのかまで踏み込まないと、当社のことをまったく知らないお客さまにXVL技術の価値は伝わりません。今後のパンフレット制作を含め、その変化を具体的なストーリーとして整理し、初めて触れる方にも理解していただけるように情報発信を強化していきたいと考えています。
新堀:パンフレットに留まらず、デザインの力をもっと活用していきたいですね。2027年には創業30周年を迎えるため、その周年イベントではデザインの力をもっと活かせるのではないかと考えています。社外向けはもちろん、社員もワクワクできるデザインを通じて「プロ集団」としてのブランディングを強化していきたいです。
50年以上、テレビ美術制作で培ってきた「魅せる技術」を活かし、
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