
受託型の情報システム構築を中心に事業を展開してきた1968年創業の老舗IT企業、データ・マネージメント株式会社。BtoB領域に特化し、堅実な事業運営を続けてきた同社が、経営体制の刷新を機に取り組んだのが、企業ロゴのリニューアルでした。
このロゴ刷新におけるグラフィックデザインを担ったのが、日本テレビアート(以下、日テレアート)です。プロジェクトご担当者にとってデザイン未経験での挑戦ながら、社内外の意見を丁寧にくみ取りながら進められたロゴ制作は、会社全体に変革の意識を芽生えさせる象徴的なプロジェクトになりました。
今回はデータ・マネージメント株式会社からプロジェクトを主導した渡川さま、鈴木さま、そして日テレアートよりロゴデザインを担当した矢田とともに、ロゴ刷新の背景と経緯、進行のプロセス、社内外にもたらした変化までを振り返ります。
50年以上、テレビ美術制作で培ってきた「魅せる技術」を活かし、
「伝えたい想い」を形にするクリエイティブ制作をご支援しております。
ぜひお気軽にご相談ください。
―― 今回の取り組みでは、データ・マネージメント社のロゴ制作を任せていただきました。まずは貴社事業の概要と、採用方針についてお聞かせください。
渡川:アプリケーション開発、ITインフラ構築、システム運用保守という3つの事業を柱に、大手ITベンダー様のサプライヤーとして事業を展開しています。情報システムを手掛ける会社ではあるものの実は歴史が長く、アナログ情報をデジタル化するためにパンチカードに情報を打ち込むデータエントリー(受託穿孔)業務を祖業として1968年に創業しました。長年にわたり大手ITベンダー様のサプライヤーとして信頼関係を築いており、2025年で59期目を迎えました。
これまで弊社では、受託型・請負型のビジネスモデルを続けてきたものの、情報システムの高度化や市場の変化に対して柔軟に対応するため、エンドクライアントと直接向き合うビジネスにも今後は注力していきたいと考えています。
鈴木:弊社はプロパー文化が強いため、中途採用よりも新卒採用に力を入れています。企業間の採用競争が激化していること、少子化などの背景から採用活動は年々厳しさを増しており、これは弊社も例外ではありません。

―― 以前のロゴには、どのような課題や悩みを抱えていたのでしょうか。
渡川:対消費者ではなく、対企業のBtoB事業であり、かつ既存のクライアントとの取り組みの割合が高かったため、これまでロゴを含む自社ブランディングには注力してきませんでした。実のところ、旧ロゴは制作者すら不明だったのです。
そのため、なかなか言語化は難しいところですが、ロゴやフォントも時代を感じさせるデザインでした。営業資料や企業パンフレット、Webサイトに使われている旧ロゴを見るたび、「いつかは刷新せねば」と感じていたのです。
鈴木:採用活動では、求人サイトや求人情報サイト、企業説明会で配布するクリアファイルやボールペンなど、学生の目に留まる場所にロゴが使用されています。そのため、企業に対する第一印象にロゴは大きく影響するため、今の若い世代にとって魅力的で共感できるデザインであることが求められています。しかし、旧ロゴはデザインやフォントに時代遅れ感があり、活用しにくいという課題があったのです。そこで会社のアイデンティティを端的に伝えられ、かつ現代的な印象を与えるデザインに刷新すべきだと考えました。
―― 今回のロゴ刷新プロジェクトは、どのような経緯でスタートしたのでしょうか。
渡川:きっかけは、2024年に経営体制が変わり、40代の役員が誕生したことでした。その役員が主導し、部長クラスが集まって会社全体の課題を洗い出す「課題検討会」が立ち上がり、私と 鈴木も参加しました。その初回で私が提案したテーマのひとつが「ロゴの刷新」です。
新規事業の開拓を担当する中で、他社の展示会やピッチイベントに足を運び、名刺交換する機会も多々ありました。その際、私たちよりも規模は小さくても先進的で印象的なロゴを掲げる企業に出会うことが多く、自社のロゴに対してずっと違和感を抱いていたのです。また、提案資料の最後には必ず自社ロゴを入れるのですが、「このロゴがもっと洗練されていれば……」と感じる場面も少なくありませんでした。そこで自社を変革していく起点として「見た目の刷新」に着手する意義は大きいと考え、ロゴ刷新プロジェクトは承認され、正式にスタートすることになったのです。

―― ロゴ刷新プロジェクトを進めるにあたって、どのような課題があったのでしょうか。
渡川:正直、まったくの手探りでした。ロゴ制作のプロセスも、どのようなデザイン会社にお願いすべきかも、CI(コーポレート・アイデンティティ)とロゴの違いも分からなかったのです。BtoB事業の弊社に社内デザイナーはいませんし、総務部門に聞いても封筒やクリアファイルなどの最小限の印刷物のデザインを既存の印刷会社さんにお願いしている程度で、ロゴまで踏み込んだデザインは依頼できそうではありません。
すべてが混然とした状態でもとにかく前に進めなければと、まずはインターネットで「ロゴ 制作」などと検索しながら情報を集めました。その中で偶然たどり着いたのが、日テレアートさんの「ロゴ選定の考え方」に関するブログ記事で、そこに書かれていた「社格に応じたデザイン選定」という考え方に強く共感しました。
―― ロゴ刷新プロジェクトのゴールやスケジュール感は明確に決めていましたか。
渡川:当初は「年度内にロゴを切り替え、人事部が採用活動で使える状態にできれば」と考えていました。しかし、ロゴのデザインは企業イメージに直結する大事なテーマですので、厳格なスケジュールは設けずに社内の合意形成に十分な時間をかける方針としました。会議体でアイデアを共有し、少しずつ社内の意見を取り入れながら合意形成を図ることで、ロゴが完成したあとのスムーズな社内浸透を狙っています。

―― ロゴ制作を依頼するにあたり、どのように比較検討されたのでしょうか。
渡川:Googleで「企業ロゴ デザイン」と検索して、数えきれないほどのロゴ制作サービスに目を通しました。フリーランスの安価なものから、世界的なデザイナーによるハイエンドなサービスまでさまざまでしたが、私としては「何度も打ち合わせを重ねながら、丁寧にコミュニケーションを取っていきたい」と考えていたため、物理的な距離の近さも重視したポイントです。また、デザインを手掛けるパートナーを探していたため、Webサイトのデザインやコンテンツも重視していました。
―― 弊社のロゴ制作サービスに対する第一印象をお聞かせください。
渡川:Webサイトは派手すぎず、かといって商売っ気を前面に出しているのではなく、「こういう考え方でロゴを作るべき」という哲学を伝えてくれるような、誠実なコンテンツが多くあり、読んでいくうちに自分の中に信頼と親近感が芽生えていきました。同じ新橋にオフィスがあるとのことで、アクセスのしやすさもポイントです。
そこでフォームから「ロゴ制作のことは何も分からないけど、まずは相談させてください」と問い合わせたところ、その日の夕方に担当者の方からお電話があり、私たちの悩みや苦労に共感していただけました。営業トークではなく、まさに同じ目線で悩みを共有できた感覚があり、「ぜひこの企業にお願いしたい」と自然に思えたのです。
また、私たち自身も普段クライアントと対面でやりとりすることが多いため、初回から複数社とコンペ形式で並行して進めるよりも、最初から信頼できる一社とじっくり進める方が効率的だと判断し、お問い合わせ以降は比較検討やコンペを行っていません。

―― ロゴ刷新プロジェクトはどのように進行しましたか。
渡川:ヒアリングフェーズ、ロゴの制作・ご提案フェーズ、最後にWebサイトやノベルティへの展開フェーズの3段階で進行いただきました。私たち情報システムの世界では、仕様書やRFP(提案依頼書)をしっかり固めてからプロジェクトを進める文化がありますので、今回のロゴ制作のように「感覚をすり合わせながら進めていく」という進行が新鮮であり、不安でもありました。ただ、打ち合わせを重ねていく中で私たちのふんわりとした要望を丁寧に拾っていただけたので、とても安心できました。
矢田:企業のロゴは、テレビ番組のロゴとは異なり、長く使い続けられるものですので、慎重に、そして丁寧に取り組まなければならないと考えました。ですので最初からいきなりご提案するのではなく、会社の雰囲気や将来的な方向性を細かくヒアリングすることから着手しています。具体的には、ロゴのイメージカラーや雰囲気について図を用いて共有しながら、「これは違う」「これに近い」といった感覚をすり合わせていきました。
その過程で、会社の成り立ちやバックボーンについても詳しく伺い、そこからロゴに落とし込む方向性を固めていきました。初回のヒアリングでは「パンチカード」という言葉が出てきたことが印象的で、そこからロゴにどう組み込むかをチームで議論しながら、ロゴの形状や名刺に印刷されたときのデザインなど、さまざまな角度から丁寧に検討しています。
渡川:「パンチカード」は私が入社した頃には既に使用されておらず、どこか「古臭い」という印象すら持っていたんです。ただ、打ち合わせで祖業や社歴の話をしたところ、とても興味を持っていただき、そして価値を見出してもらえたことが嬉しかったですね。
その後の打ち合わせでも、社員の素の雰囲気や、地道に積み重ねてきた企業文化をデザインに反映してもらうため、ざっくばらんな空気で打ち合わせを重ねることを意識していました。
矢田:ロゴの制作・ご提案フェーズでは、グラフィックデザイン部の若手・中堅・ベテランのデザイナーがそれぞれ参加し、同じインプットをもとにそれぞれが持つ感性で複数案を制作し、それらを比較検討しながらご提案させていただきました。現代的な雰囲気のロゴから、カッチリとした堅実なデザインのロゴまで、幅広くご提案できたのは良かったと思います。

―― ご提案したロゴに対する社内からの反応はいかがでしたか。
渡川:「ロゴを刷新します」とアナウンスした当初は反応が薄かったのですが、デザインの素案を共有すると一気に空気が変わりました。「かっこいいね」「私はこの色がいい」と前向きな意見が出て、そこからは一気にプロジェクトが加速しました。
社員全員が「こうあるべき」という明確なイメージを持っていなかったからこそ、実物を見てもらって「これが一番良い」と納得してもらう進め方が、非常に効果的でした。ロゴ刷新は、単なるビジュアル変更にとどまらず、会社の方向性や姿勢を内外に示す重要な取り組みであるとあらためて実感しています。
鈴木:私はWebサイトの刷新やオフィス環境の見直しを担当する流れでロゴ制作のプロジェクトに合流しました。最終的には、部長クラスが参加する営業会議で投票を実施し、最も支持された案を採用しています。
―― ロゴが決定した後は、どのように社内に展開されましたか。
鈴木:ロゴの公開から1年間を移行期間として少しずつ切り替えていく計画でしたが、公開直後から「この帳票は?」「この掲示物は?」と問い合わせが殺到し、実質的には最初の1ヶ月で大半のデザインが切り替わっています。社内でも「ロゴを今風なものに変えたい」という強い思いが潜在的にあったのだと感じましたね。
最終的に決定されたロゴは、洗練されていて近代的なデザインです。「パンチカード」のモチーフも生かされ、長い歴史を持つ企業としてのメッセージ性もしっかり表現されており、採用活動の中でも学生に説明しやすいと感じています。

―― 弊社のロゴ制作サービスに対する評価をお聞かせください。
渡川:全体を通して、とても満足しています。事前にご提示いただいたコスト内で複数回の打ち合わせを実施いただきましたし、追加の要件が発生してもその都度再見積もりを求めるのではなく柔軟に対応いただけたことがありがたかったです。納期についても、私たち側で厳密な期限を設けていませんでしたが、十分に納得できるスケジュール感でした。
また、私たちの負担も最小限に抑えられています。ご依頼の意図や背景については時間をかけて資料をまとめましたが、それ以降はWeb会議のやりとり中心で、進めば進むほど手間がかからなくなりました。こちらの意図もくみ取っていただけていたので、非常に助かっています。
―― クライアントや企業説明会の学生からはどのような反応がありましたか。
渡川:ロゴ刷新後、すぐに現場の営業担当者が提案資料を新ロゴに差し替えたそうで、お取引先のクライアントからは「いい意味でこれまでらしくない、かっこいいロゴになったね」といったコメントをいただいたと聞いています。
鈴木:企業説明会の資料の中で新旧ロゴを並べ、「今まさに会社が大きく変わるタイミングです」と学生には伝えています。実際に私服勤務のルールやオフィスBGMの導入なども進めており、ロゴ刷新と連動して説明することで視覚的に「会社が変革期にある」と伝えられています。もちろん、ロゴの刷新だけで採用の数字は大きく変わりませんが、学生からは「変化に前向きな企業である」というポジティブなイメージを持ってもらえているはずです。

―― 今後の展望についてお聞かせください。
渡川:既存事業を着実に維持・発展させつつ、ロゴの刷新をひとつのきっかけに新しい事業領域やエンドクライアントと直接向き合うビジネスモデルにも積極的にチャレンジしていきたいと考えています。
鈴木:新しいロゴは想定していたよりも社内から大きな反響がありましたので、より広く活用していきたいと思います。たとえば、社内の一体感を高めるためにロゴ入りネックストラップやクリアファイル、オフィス周辺の清掃活動用のビブスも新ロゴを反映してデザイン、制作を進めています。これまで縦割りがちだった文化を変え、全社的なつながりを生む「共通のシンボル」として、ロゴが機能してくれることを願っています。
また、採用サイトのリニューアルを社内で検討している段階で、上層部からも「しっかり取り組んでいこう」という指示がありました。会社の“顔”であるコーポレートサイトの見直しも視野に入れており、日テレアートさんには引き続きパートナーとしてご相談していきたいですね。
―― 弊社のロゴ制作は、どのような企業におすすめできるでしょうか。
渡川:弊社はテレビ業界とは縁遠い情報システム分野ですが、だからこそ日テレアートさんには弊社の「価値」に気づいていただけたと感じています。特に「パンチカード」を含む事業の成り立ちに興味を持って取り組んでいただいたことが印象的です。ロゴデザインに特化した制作会社も多いなかで、日テレアートさんのように柔軟な視点で企業の価値をくみ取ってくれるパートナーは、むしろ異業種の企業こそおすすめできると思います。
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